冬の心配事の1つと言えば、インフルエンザです。
特に、抵抗力の弱いお年寄りや小さな子供は重症化することがあるため、予防接種を受けることが望ましいと言われています。
妊婦さんはどうなのでしょう?
妊娠中初期にインフルエンザ予防接種を受けることは可能なのでしょうか?
副作用やお腹の赤ちゃんへの影響が心配ですよね。
妊婦さん全員がインフルエンザシーズンを無事に乗り切れるように、今回は妊娠中のインフルエンザ対策についてリサーチします!
インフルエンザワクチンは2種類ある?・不活性化ワクチン・生ワクチンそれぞれの用途は?妊婦に危険なのはどっち?
インフルエンザワクチンには「不活性化ワクチン」「生ワクチン」の2種類があります。
不活化ワクチン
不活化ワクチンは、死んだウイルスや細菌で作られています。
ウイルスの病原性をなくした毒性のないワクチンです。
妊娠中のインフルエンザ予防接種には、この不活性化ワクチンが使用されます。
ウイルスが死んでいるので、妊婦にもお腹の赤ちゃんにも悪影響を与える心配がありません。
現在、日本で認可されているインフルエンザワクチンも、この不活性化ワクチンですので、妊婦だからと言って特別なワクチンではありません。
多くの一般の人が受けている注射タイプと同じなわけですね。
生ワクチン
もう1種類の生ワクチンは、生きたウイルスや細菌で作られています。
毒性は弱くしてありますが、生きているウイルスですから副作用が強いです。
インフルエンザの生ワクチンですが「鼻噴霧式」で使用している病院もあります。
ただし、日本ではまだ未認可のため、あくまで自己責任の接種になります。
料金も不活性化ワクチンの倍以上が相場のようです。
でも、点鼻タイプなので注射嫌いでも大丈夫、不活性化ワクチンよりも免疫保持期間が長く、約1年間効果が持続します。
不活性化ワクチンの免疫保持期間は約5ヶ月と言いますから、長いですよね!
2歳から使用可能ですので、生まれたお子さんが「とにかく注射が嫌い!」で大変だったら、お医者さんに尋ねてみてもいいかもしれませんね。
インフルエンザを受けるタイミングはある?
妊娠中の接種回数は、通常の成人と同じく1回で大丈夫です。
妊娠中のインフルエンザ予防接種を受けるタイミングはあるのでしょうか?
接種後に抗体ができるまで、個人差はありますが、約2週間かかります。それを考慮すると、受けるタイミングは11月下旬頃がベストでしょう。
毎年11月下旬頃~12月上旬に最初の流行、1~3月頃に流行のピークが来ますからね。
妊娠初期~後期の全期間で接種可能ですが、妊娠中は免疫力が低下しますし、人によってはつわりによる体力低下も考えられます。
体調などをお医者さんと相談しながら、受けるタイミングを決めてください。
また、もし妊娠を希望しているならば妊娠前に予防接種しておきましょう。
妊婦になった時の感染予防になりますからね。
すでに「妊娠しているかも?」と、妊娠の可能性がある場合は、先に妊娠しているのかどうかをはっきりさせてから、予防接種については考えましょう!
予防接種前に、産婦人科へGOですよ!
インフルエンザ予防接種の妊娠中初期への影響や副作用は大丈夫?
現在、妊婦のインフルエンザ予防接種は可能、むしろ推奨されています。
妊娠中いつでも接種OKともわかりました。
それでも不安な人は多いはず。
特に妊娠中初期は、赤ちゃんの身体の各器官の形成が始まる最も大切な時期、赤ちゃんへの影響や副作用は大丈夫なのか、心配ですよね。
妊娠初期症状と風邪の初期症状が似ているため、うっかり風邪薬を飲んでしまった!と、慌てる人もいます。
インフルエンザワクチンなんて、なおさら心配かもしれません。
正直、妊娠中初期への影響や副作用が100%大丈夫とは言い切れません。
医療に100%はありませんからね。
しかし、免疫力が低下している妊娠中は、インフルエンザに感染してしまうと重症化や合併症の心配があります。
お腹の赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があるのです。
そのため「妊娠中初期にインフルエンザ予防接種を受ける影響や副作用のリスク」より、「妊娠中にインフルエンザに発症した時のリスク」の方が高いと考えられています。
つまり現在「妊娠中初期でも予防接種を受けた方が望ましい」傾向なのです。
私も2度の妊婦経験者ですが、妊娠中にインフルエンザ予防接種はしていません。
「妊娠中は予防接種NG」と勝手に思い込んでいましたからね、主治医に尋ねることもなかったです。
勧められた記憶もありません(笑)
インフルエンザにならなくてラッキーでしたが、もし知識のある今だったら…受けていただろうなと思います。
インフルエンザの防腐剤(チメロサール_有機水銀)とは?
原因は、複数人用のワクチンが入っている瓶から何回か薬液を採るうちに、薬液がブドウ球菌で汚染されてしまったためです。
この事件をきっかけに、複数人用ワクチンの細菌汚染防止に「チメロサール」という、優れた抗菌作用のある防腐剤が1940年代より世界各国で使用され、現在も様々な予防接種のワクチンに添付されています。
妊婦さんに使用されるインフルエンザワクチンにも、この「チメロサール」が含まれています。
チメロサールは、有機水銀化合物の一種「エチル水銀」です。
「ワクチンに水銀が含まれている」なんて、身体に悪い副作用や影響があるのでは?と、不安になりますよね。
大切な命を宿している妊婦さんなら、なおさらでしょう。
防腐剤の危険性はどのくらいある?安全性や胎児への影響は?
水銀と聞いて思い浮かべるのは、日本では水俣病かもしれませんね。
確かに、チメロサールも水俣病と同様の神経系障害として、1990年代に自閉症などの発達障害との因果関係が問題視されたことがありました。
しかし、研究が進んだ現在、チメロサールと発達障害との因果関係はないと報告されています。
そもそも、水俣病の原因である水銀は「メチル水銀」です。
メロサールに含まれているエチル水銀は、メチル水銀より体内に蓄積される時間が短く、すぐに体外に排出されます。
ワクチンに含まれる量も微量なことから、妊婦さんが防腐剤入りのインフルエンザ予防接種を受けても危険性はないと言われています。
実は、妊婦さんが気をつけたい水銀は、チメロサールよりも魚に含まれているんです。
特に、キンメダイやメカジキ、クロマグロ、メバチマグロなどの大きな魚には、高い濃度でメチル水銀が含まれています。
これは、魚の食物連鎖によるもので、大きな魚が小さな魚を餌にすることにより、その分、大きな魚の体内に自然と多くの水銀が取り込まれるからです。
とは言え、キンメダイやマグロを絶対に食べてはいけないということではないんですよ。
厚生労働省から出されている「妊娠中にこれらの魚介類を食するなら週に1回お刺身1人前の 80グラム程度まで」と言う制限の範囲内なら大丈夫です。
水銀の注意が必要のない魚もあります。
サケやアジ、サバ、イワシ、サンマやタイ、ブリ、カツオなどは問題ありませんし、マグロ類でもメジマグロやツナ缶ならOKです。
魚は、たんぱく質やDHAなどを豊富に含む大事な栄養素でもありますからね。
今週はついマグロの刺身を食べ過ぎてしまった…と思ったら、翌週は心配のないサケやアジだけにしてみたり、バランスをとりながら上手に摂取してください。
魚に含まれているメチル水銀の話になりましたが、チメロサールに含まれている水銀は、メチル水銀ではなく、エチル水銀でしたよね。
メチル水銀のような危険性も報告されていませんので、比較するのもどうかと思いますが、メチル水銀基準で見たとしても、ワクチンに含まれているエチル水銀含有量は、マグロの刺身1人前よりもはるかに少なく、安全性や胎児への影響に問題はないとのことです。
チメロサールを含んだワクチンの使用で、接種した部位の腫れや痛み、発熱などの症状が起こる場合もチメロサールが原因だという根拠はありません。
日本産科婦人科学会も「チメロサール含有ワクチンを妊婦に投与しても差し支えない」と見解を示しています。
インフルエンザワクチンに含まれている防腐剤は、細菌汚染のリスクから安心して予防接種を受けるために必要なものと言えるでしょう。
より安全な防腐剤フリーのワクチンもある?
ただ製造元が1社しかないので早めに医療機関にお問い合わせを!
ここまでの話からもわかるように、インフルエンザワクチンに含まれる防腐剤は、妊婦さんや胎児への副作用や影響の心配はないと考えられています。
でも、防腐剤が含まれない防腐剤フリーのワクチンがあれば、妊婦さんはより安全で安心ですよね。
防腐剤フリーのワクチンも、ちゃんとあるんですよ。
防腐剤フリーのワクチンは、1瓶に1人分しか入っていない使い切りタイプです。
瓶から何度も薬液を取り出す必要がないので、細菌汚染の可能性が低く安心して使用できます。
注射をする時の痛みや接種した部位によるにアレルギー反応などの軽減も期待できるそうです。
その反面、1人1瓶のためコストが高く、費用は防腐剤が含まれているワクチン+1000円くらいのようです。
また、生産量が少ないため数量が限られており、ワクチン製造は現在のところ1社だけということも注意しなくてはなりません。
生産効率の問題から、もともと少量しか生産されていなかったのですが、昨年の熊本地震でワクチン製造元の1社が被災してしまったため、昨シーズンは防腐剤フリーのワクチンの製造すらされませんでした。
2017-2018年シーズンは1社だけ製造は再開したものの、その影響は続き医療機関が取り扱う数量は例年より少ないようです。
でも、妊婦さんは優先的に防腐剤フリーを接種することができますので、希望する場合は早めに医療機関にお問い合わせくださいね。
しかし、なにせ少量生産の防腐剤フリー、医療機関によっては在庫がないところもあるでしょう。
防腐剤含有のワクチンしか取り扱っていないことで、予防接種を打つべきか否か…迷ってしまうかもしれませんね。
その時は、妊婦さんがインフルエンザに感染すると重症化しやすいという事実を思い出してください。
現在、日本のインフルエンザワクチンに含まれる防腐剤の量は、1990年代に比べ10分の1以下に減量されてもいますし、厚生労働省は、防腐剤が含まれていてもインフルエンザ
ワクチンの予防接種を行ったほうが有益であると明言しています。
繰り返しになりますが、防腐剤を含んだインフルエンザワクチンの危険性は認められていませんし、安全性や胎児への影響に問題はないと言われています。
妊婦さんにも胎児にも、防腐剤の危険性よりもインフルエンザに感染する危険性の方が高いことを忘れないでくださいね。
予防接種を打ったほうが良い場合は?予防接種を打たない方が良い場合は?
あくまで「望ましい」だけですので、結局は、妊娠中初期に限らず、妊娠中に予防接種を打つか打たないかは、自分で決めるしかありません。
参考までに、予防接種を打った方が良い場合と打たない方が良い場合の基準をあげておきますね。
予防接種を打ったほうが良い場合
1.病気にかかると重症化しやすい
普通の風邪でも高熱をだしやいような人は、インフルエンザにかかってしまった時に重症化しやすく、赤ちゃんにも影響する恐れがあります
2.持病がある
喘息や糖尿病などの持病を持っている人は、病気にかかりやすいことから予防接種を受けた方が良いとされています。
3.子供に接する機会が多い
上のお子さんがいるママさんは、学校や幼稚園からウイルスを持ってくることがありますので、打った方が良いでしょう。学校や幼稚園、病院勤務の人も同様です。
予防接種を打たない方が良い場合
1.体調が悪い
発熱中や他の感染症にかかっている時は、当然、予防接種は控えましょう。
2.ワクチンで体調を崩した経験がある
インフルエンザ予防接種を打った後に体調を崩したことがある人は、お医者さんとよく相談してからにしてください。
3.卵アレルギーがある
ワクチンには卵が使われているため、アレルギー反応を起こす可能性があります。
4.妊娠14週未満
妊娠14週未満だと胎児がまだ不安定なため、早産や切迫流産の危険性があるとも言われます。お医者さんとよく相談してくださいね。
もし妊娠中にインフルエンザになってしまったら?
最後に、もし妊娠中にインフルエンザになってしまった時の対処方法です。
最も大切なことは「早めに受診すること」
発症後48時間以内であれば、重症化予防にタミフルが効果的です。
タミフルによる赤ちゃんへの影響や副作用を心配して服用せずに、重症化させてしまう方がよほど危険です。体調悪化で早産や切迫流産の危険性もあります。
また、妊娠中は強い薬が使えません。
副作用が強くなくとも、妊婦に適さない薬もあります。
自己判断で薬を服用することは、とても危険です。
とにかく早めに受診し、適切な薬の服用と治療をしてください。
お医者さんの指示のもとなら大丈夫ですからね。
ちなみに、インフルエンザの疑いがあるする時は、産婦人科ではなく内科を受診する配慮もお忘れなく。他の妊婦さんに感染する恐れがありますからね。
インフルエンザワクチンを打つ・打たないに関わらず、何より大事なのは日頃からの予防です。こまめな手洗いうがいや十分な睡眠と栄養、人混みへの外出は極力避け、外出時にはマスク着用するなど、いつも以上に予防を心掛けてください。
家族全員の協力も必要不可欠です。
ワクチンを打つなら、必ず家族全員で接種しましょう。
妊婦さんだけ接種しても、同居している家族が感染してしまったら意味がありませんからね。
もし妊婦がインフルエンザに感染しても、ウイルスが胎盤を通って赤ちゃんに影響を与える心配はないとも言われています。
あまり神経質になりすぎるのも考えものですよね。それにしても、自分の妊婦時代を思い出すと、インフルエンザ予防接種について考えることなんてはありませんでした。
20年近く前ですが(笑)
幸い、インフルエンザに感染はしなかったので、結果的に問題はなかったのですが、もし感染して重症化していたら…と思うと、無知とはこわいものです。
とは言え、インフルエンザワクチンの防腐剤まで心配するのもどうなんでしょう?
大切な赤ちゃんの命を守るためですから、正しい知識を持つに越したことはありませんが、過度に心配して不安になりすぎるのも考えものです。
ネットで簡単に検索できるのも善し悪しだなと、自分でここまで書いておいて疑問に思ってしまいました(笑)。
正しい情報と知識で、予防接種を受けるのかどうか最良の選択をしてくださいね。
笑顔も免疫力を上げる効果があります。
信頼できるお医者さんやご家族と相談・協力しながら、笑顔でインフルエンザシーズンを乗り切ってください!
最後に、妊娠中に母親がインフルエンザ予防接種を受けることが、出産後の赤ちゃんのインフルエンザ感染を防ぐことを知っていますか?
母親の胎盤を通して免疫が赤ちゃんへ移行するんです。
赤ちゃんは、生後6か月までインフルエンザの予防接種を受けることができないので、妊娠中に免疫のプレゼントをしてあげることができるんですよ。
生まれる前のプレゼントなんて、ちょっと素敵じゃないですか^_^
インフルエンザシーズンもいよいよ本番!
予防接種も大切ですが、基本のうがいと手洗い、栄養と睡眠、人混みに行かないことなどもしっかりと実行して、元気な赤ちゃんを産んでくださいね。
かわいいベイビーはもうすぐですよー!
