痛さに耐えられなければ母親になれませんよ

これは一人目の出産の時、陣痛に耐えられず弱音を吐いた私に対する助産師の言葉でした。

死ぬ思いで50時間もの陣痛に耐え、何とか無事に「母親」になることが出来ました。

そして二人目の妊娠が分かった瞬間、喜びと共にあの痛みと助産師の言葉を思い出したのです。

しかし、私は迷わず、二人目は無痛分娩を選択しました。

筆者の場合は特に問題なくお産が進み「無痛分娩を選んで良かった」と心から思いましたが、最近、無痛分娩により死亡するケースがニュースなどで取り沙汰されていますね。


そのため無痛分娩は危険でリスクが高いのではないか?という声がよく聞かれるようになりました。

アメリカや欧米では広く利用されている無痛分娩。


本当にリスクが高いのでしょうか。

また、普通(自然)分娩と無痛分娩の違いは何なのでしょうか。

どちらも経験した筆者の体験も交えて解説したいと思います。

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無痛分娩とは、具体的にどのような分娩方法なの?


まず「無痛分娩」に対する正しい知識を得なければなりません。

無痛分娩とは、麻酔薬をつかい、陣痛の痛みをやわらげながら出産する方法です。

麻酔で完全に眠ってしまうわけではなく、痛みをやわらげつつも、意識はある状態です。

分娩時にいきみが必要なこともあり、出産直後の赤ちゃんを抱っこすることもできます。

つまり、痛みが軽くなるというだけで通常のお産とほとんど変わりません。

「無痛分娩」という名前から「まったく痛みがない」というイメージがあるかもしれませんが、あくまでも「痛みが軽くなる」程度である、ということは頭に入れておきましょう。

また、無痛分娩の場合は、あらかじめ分娩日を決め、陣痛促進剤などで陣痛を促す計画分娩(誘発分娩)」を行うケースが多くあります。

無痛分娩には、「硬膜外麻酔」と「点滴麻酔」という2つの方法があります。

硬膜外麻酔(硬膜外鎮痛法)


背骨の脊髄に近い場所にチューブを入れて麻酔薬を注入する方法で、針をさす際に、少しチクっとした痛みを伴います。

痛みを伝える神経である脊髄の近くに麻酔薬を投与するため、硬膜外麻酔は痛みをやわらげる効果が強いのですが、意識は分娩の最後まではっきりしていて、赤ちゃんへの影響はほとんど見られないといわれています。

点滴麻酔


点滴で静脈から麻酔薬を入れる方法です。

硬膜外麻酔と比べると、鎮痛効果が弱いのですが、事前の処置は簡単です。

分娩中に多少眠くなる妊婦さんもいますが、たいていは赤ちゃんが生まれてくるまで意識があります。

硬膜外麻酔での無痛分娩について詳しく解説

ここでは麻酔薬の影響が母子ともに少ないことから一般的によく使われる硬膜外麻酔での無痛分娩について解説します。

硬膜外鎮痛は、陣痛が始まって妊婦さんが痛み止めをほしいと感じ、産科医の許可が得られた時点で開始します。

子宮の出口が3~5cm開く頃までに始めることが多いですが、妊婦さんの状態や施設、産科医、麻酔担当医の方針により、開始時期は少しずつ異なります

硬膜外鎮痛を行う際には、背中の奥に薬を注入するための細い管を入れますが、これはベッドに横向きに寝て、または、座って背中を丸めた姿勢で行います。

最初にとても細い針を使って皮膚の痛み止めをします。

そして管を入れるためのやや太い針(硬膜外針といいます)を刺します。

このときはもう皮膚の痛み止めが効いているので痛くありませんが、押される感じはあります。

針の先を硬膜外腔に進めたら、その針の中を通して管を硬膜外腔に入れます。

その後、針だけを抜くと柔らかい管だけが体に残るというわけです。

したがって針は体に残しておくわけでないので、管が入ってしまえば、背中を下にしたり、体を動かしたりしても大丈夫です。

この硬膜外の管を入れるのは数分から10分程度の処置です。

硬膜外の管から薬を注入すると20~30分で徐々に鎮痛効果が現れます

効果が現れ始めたときには、陣痛が弱くなった、短くなったと感じる妊婦さんが多いようです。

効果が十分に現れるとお腹が張っているのに痛みがなくなっていることに気づくと思います。

同時に足が軽くしびれた感じがあるかもしれませんが、心配ありません。


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無痛分娩はリスクが高い?
麻酔の危険性や死亡事故の事例はある?


京都府京田辺市の医院「ふるき産婦人科」で2012年、麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩」の際に母子が意思疎通のできない重い障害を負った事故で、京都府警は13日、適切な処置を怠ったとして院長の男性医師を業務上過失傷害の疑いで書類送検した。

送検容疑は12年、無痛分娩のため女性(40)の背中から細い管を入れる「硬膜外麻酔」を行った際、高濃度の麻酔を過剰に注入するなど注意を怠り、長女(4)とともに寝たきりになる障害を負わせた疑い。

家族は医院に対し、約9億4千万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こし、8月には業務上過失傷害容疑で院長を京都府警に告訴した。

医院側の弁護士は「取材は受けられない」としている。

引用:日本経済新聞_https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22243790T11C17A0000000/


最近よくニュースなどで報道されている「無痛分娩による死亡・重大事故」。

お母さん、赤ちゃん、ご家族の気持ちを考えると胸が詰まりますね。

長い妊娠期間を経てようやく赤ちゃんに会えると思ったのに、その想いが叶わない辛さは計り知れません。

近年医療の発達により出産のリスクや事故の確率は限りなくゼロに近いです。

しかし「お産に絶対はない」のです_Byコウノドリ

いくら医療が発達しても、どうしても助けられない命があります。

そのため出産はお母さんと赤ちゃんにとって命がけです。

自然分娩は昔から人類がとってきた方法なので割と年配の方から「ポンポン産めるものよ〜」とまるで簡単なことのように言われますが、誰しもが取れる方法ではありませんし、何が起こるか分からないのです。

名前も「普通」や「自然」なんて付くので「ではそれ以外(帝王切開や無痛分娩)は不自然?」と思われてしまうのかもしれませんね。

ネーミングも考える必要があると思います。

そうすると「無痛分娩は麻酔を使うので危険性が高い」とか死亡事故が起こると「自然分娩ではないからだ」と思われがちです。

「無痛分娩で産むと自閉症が多い」などと言う根も葉もない噂すらあります。

本当にそうでしょうか。

まず無痛分娩のリスクですが、上記でも述べたように「硬膜外麻酔」を使います。

麻酔をかけると当然リスクは発生しますね。

患者の体調・体質・背骨に問題がある場合など、医者による全身管理が必要となります。

そうすると当然医者の数が必要となりますが、産婦人科の医師だけでは到底足りません。

このように無痛分娩をするには「麻酔を管理する医師が一定数必要」となります。

しかし、なかなか麻酔医を24時間確保する体制を取れないため、無痛分娩を実施できる医療機関は少ないのが現状です。

そのためお産への麻酔経験が少ない医者や、他のお産と並行して処置に当たるなどの対応を取られるケースもあるようです。

これがすべての原因ではありませんが、そういった要因により死亡事故の事例があることは事実です。

確かに筆者も妊娠発覚後、無痛分娩を行っている施設を探すことは大変でした。

24時間麻酔科専門医がいないため夜中の陣痛には麻酔をしてもらえない病院も多かったです。

また予約を取るために妊娠4週~5週目には初診予約をしないと検診や出産をさせてもらえないというところもありました。

妊娠4~5週と言ったら、まだ妊娠検査薬がようやく反応するかどうかという時期です。

そんな時期に大切な出産方法をすぐに決められない人も多いですし、それだけ狭き門なのです。

筆者が出産した病院は24時間麻酔科医が対応してくれる病院でしたが、麻酔科医は常駐ではなく、数人で他の病院と掛け持ちしていましたから・・。

東京都内であってもそんな状況です。

女性の生き方も多様なら産み方も多様。

年々無痛分娩のニーズは高まっています。

しかし最近頻繁に報道されている無痛分娩による死亡事故のニュースは「どうしようもならないジレンマ」として、医療現場に暗い影を落としているのではないでしょうか。


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無痛分娩と普通分娩との違いは何?
それぞれのメリット・デメリットは?


無痛分娩と言っても、完全に痛みが取れる訳ではありません。

筆者の場合は痛みはありませんでしたが、周囲で「無痛分娩をしたけれども痛かった」という人もいます。

痛みだけを取れれば良いのか、それとも痛みはなくても自然な形で出産したいのか・・・妊婦さんやご家族の意向は様々です。

普通(自然)分娩と無痛分娩のそれぞれのメリット・デメリットをまとめてみました。

普通(自然)分娩


メリット

・陣痛に耐え抜いて出産をすることから「赤ちゃんを産んだ!」という感覚が一番強い
・費用が安く済む
・帝王切開に比べて産後の回復が早い

デメリット

・とにかく痛すぎる
・助産院や自宅出産などの場合、トラブルに対してのケアが遅くなる場合がある

無痛分娩


メリット

・とにかく痛みがない 又は抑えられる
・陣痛による体の疲れが抑えられる分、産後の回復が早い
・痛みがないため冷静な気持ちで出産に臨める

デメリット

・麻酔が効かない体質や効き過ぎてしまう体質などで帝王切開に切り替わる場合がある
・麻酔による副作用の危険性
・無痛分娩を出来る病院が少ない
・費用が高くなる(+10万以上かかるところも珍しくありません)

硬膜外麻酔の体験談_筆者の場合


筆者の場合は計画分娩(=赤ちゃんが十分に成熟して経腟分娩が可能になった状態)だったので、出産予定の前日に入院しました。

入院するのは、硬膜外麻酔の管を先に入れておくためです。

入院すると改めて麻酔科専門医から直接薬や副作用について丁寧な説明がありました。

そしてNST(=赤ちゃんの心拍を図るもの)を装着し、点滴を開始。

その後麻酔科の専門医の指示のもと、硬膜外麻酔の管を入れる処置を行います。

背中を丸めて座った姿勢を取ります。

針が刺された時はチクッとして、次にちょっと芯が入るようなズーンとした痛みがありました。

人にもよるかと思いますが、我慢できないような痛みではなかったです。

むしろ腰痛持ちで、鍼灸の鍼に慣れていた筆者は腰に響いて気持ちが良かったくらい・・・(笑)

最後は腰から出ているチューブを肩に固定して終わりです。あっという間の出来事でした。

その際、出産当日に備えてテスト用の麻酔薬を少しだけ入れられました。

少しすると麻酔が効いて足元がおぼつかなくなりました。

看護師さんに支えられて部屋に戻ると麻酔科の先生が来て、アイスノンを私の腕や足に当て「冷たい感覚があるか」と尋ねられました。

コールドテストというものです。

上半身は麻酔がかかっていないので冷たいのですが、腰から下は麻酔が効いており、全然冷たさの感覚がなかったです。

その時、「麻酔ってすごいなぁ」と感動しましたね。

しかしテスト麻酔が切れてからは、管が入っている腰の部分が地味に痛かったです^^;

そして出産当日の朝。

7分間隔で前駆陣痛がありました。

まだ生理痛程度の痛みなので余裕で我慢できます。

朝6時から陣痛促進剤を点滴。

「我慢できない痛みが出てきたら麻酔を入れるのですぐに言ってくださいねー。我慢すると麻酔が後追いになってしまいますからね」

何とも心強いお言葉・・。

普通分娩の時の「我慢しなさい!」的対応とは雲泥の差(*_*)

麻酔があるという安心感で最初は余裕でしたが、それから10分で「麻酔・・・!

麻酔を入れてくださいぃぃ」と慌ててナースコールをしました。(笑)

そして前日に入れた管から麻酔薬を注入します。

冷たいものが背中を通り抜けていく感覚。

だんだん足がぽかぽかと温まっていきました。

そして陣痛が全くなくなったのです。

・コールドテストをしても感覚ない!
・内診をしても痛くない!(本当なら悶絶級)
・脚は少し動き、軽くしびれている程度
・麻酔をしていても赤ちゃんがお腹の中で動いたり、偏ったところにいる感覚はよく分かる。

それから2時間半後、モニターでの張りは2分間隔になっており子宮口はすでに9cmにまで開いていました。

その頃病院に到着した家族が「あれ?まだ陣痛始まっていないの?」と言うくらいリラックスしていました。

一人目はここまで行くのに丸2日かかっていたのが信じられないほどです・・・。

お産が進むと、相変わらず痛みはないものの体温が38度以上に上がったため寒気が起きてきたのと、吐き気、胸のあたりが痒くなりました。

これは麻酔の副作用だそうです。

辛かったのはこれくらいです。

そして陣痛促進剤注入から5時間後、分娩室へ移動することになりました。

この頃はもう子宮口全開大なのに、普通に家族にLINEを送っていましたよ・・。

「今から分娩室に行ってくるねー!」と・・・(^^;

そして分娩台でもモニターで張りのタイミングを見ながら助産師さんが「いきんで!」と教えてくれるので、痛みも張りも分からないけれど必死に体に力を込めました。

不思議なことに痛みはないのに、赤ちゃんが骨盤を通っている感覚は分かるんです。

1人目の時はただただ痛くて必死な状況だったけれど、今回は普通に話せるしリラックスしてお産に臨めていました。

あまりに冷静過ぎて自分でもびっくりでした。

でも、まだ生まれていないのにこんなにしっかりと出産の瞬間を迎えられることに思わず涙がポロポロ。

なんだか感動してしまったことを覚えています。

そして数十回のいきみの後、無事に赤ちゃんを産むことが出来ました!

その後、当日の夜は麻酔の影響で38度くらい熱と吐き気がありましたが、陣痛のしんどさに比べたら天国です。

筆者の場合、もし一人目の普通分娩だけなら「お産は痛かった。もう二度と嫌だ」とネガティブな感情で終わっていたでしょう。

しかし二人目の出産が無痛分娩でしっかりと我が子が生まれる瞬間を見られる「いいお産」だったと思えたのです。

それは筆者にとって、非常に意味があることでした。

体験談から語る_無痛分娩を選んだ理由


私の場合は1人目の出産は自然分娩、2人目の出産は無痛分娩でした。

どちらも経験したことによって、母体側からの視点でそれぞれのメリット・デメリットを知ることが出来たのは貴重な体験だったと言えるでしょう。

「何故1人目が自然分娩だったのに、2人目は無痛分娩を選んだのですか?」とよく聞かれます。

その理由はハッキリしています。

ズバリ「あの痛みを絶対に体験したくなかったから」です。

自分勝手な理由ですかね・・^^;

でも正直な気持ちです。

まず1人目を妊娠した時は、初めてのお産ということもあり実家に里帰りをしたかったのです。

しかし実家の周りの産院は、自然分娩で出産するところがほとんどで、無痛分娩なんて出来る施設はありませんでした。

昔から血や痛みが苦手で、身内から出産の痛みについて何度も話を聞いていた私。

いつかするであろう出産に対する恐怖は非常に強くありました。

しかし1人その時は初めての妊娠ということで何事も経験だと思い、自然分娩が主流の産院を予約したのです。

妊娠中は出産時のことを思うと大きな不安にさらされました。

人に出産の時の話を聞くだけで恐怖で眠れなくなったり、保健所で行われた出産講習のビデオを観て貧血で倒れたり・・・(笑)

周りからは「本当に痛みに耐えられるのか」と心配されていましたね・・。

もちろん自分自身も。(笑)

そんな長い妊娠生活を経て、いざ陣痛の痛みが襲ってくると・・・

それはもうよく言う「鼻からスイカ」とかそんなレベルではありません。

痛すぎて身体に力が入りすぎて顔中の血管が切れるわ、暴言(笑)を吐くわ、失神するわ、点滴を倒すまで暴れるわ・・・すみませんって感じ(;・∀・)

微弱陣痛のためになかなかお産が進まず約50時間苦しみ続けました。

そして何とか無事に出産をすることが出来たものの、もう何が何だか分からない内に生まれてしまったといった感じでした。

喜びや感動よりも先に「痛かった。絶対にもう出産は嫌だ」と思ってしまったのですね。

産後は自然分娩の後の痛みも大変でした。更にまだロクに出もしない母乳をあげるために夜中に2時間ごとに起きて、壊れそうなほど小さな赤ちゃんに必死で母乳を飲ませるのです。

産後の疲れが取れないまま、すぐに「母親」の仕事をしなければいけないことは想像を絶する辛さでした。

そんな風に慣れない育児を必死でこなしていく毎日を送っていく中で、「2人目」なんてワードは考えもしなかったですね。

むしろ「出産」に対して完全にネガティブなイメージがついて「絶対にもう産みたくない」と考えていました。

しかし子供が表情豊かになって、可愛い盛りになってくるとふと「あぁ、二人目も欲しいな」と思うようになったのです。

1人目の時にあれほどの痛みがあったにも関わらず、です。こういうのが「本能」というものなのでしょうか。

そしてそれから数か月後、2人目の妊娠が分かりました。

妊娠が分かると一番初めのステップは病院選びです。

私は迷いもせず、「無痛分娩ができる病院」を探していました。

その理由は

・もう絶対にあの痛みを味わいたくない
・上の子供がいるので産後のダメージは最小限にしたい
・記憶に残る、穏やかに出産をしたい
です。

これらの理由は「私の都合」が多いようにも思えますが、赤ちゃんにとっても前回のように長時間苦しい思いをさせたくないという気持ちもありました。

出産時、赤ちゃんも産道を通る時には苦しく、大きなストレスを抱えますからね。

そんな希望に合う産院は見つかったのでしょうか。そのプロセスは次の項目でご紹介します。

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体験談から語る_病院を決める際に重要視したポイントは?これから病院を選ぶ方へのアドバイス?


無痛分娩をしたい私が重視したポイント

日時によって無痛分娩が出来ない産院はNG。

24時間365日無痛分娩対応可能な病院であること

緊急時、提携している救急病院が近隣にあること。

自宅から近く、通いやすいこと

無痛分娩は高額ですが、その中でも予算内で収まるところ

医師が経験豊富なこと。麻酔科医も常駐していること

医師とのコミュニケーションが取れ、丁寧な説明を施してくれるところ

しかしながらこれらの条件を全て満たしているところは、ほぼありませんでした。

特に私が強く望む「24時間365日無痛分娩」に対応してくれる病院はほとんどありませんでした。

HPなどで「無痛分娩」と書かれていてもそれは痛みを和らげる程度の「和痛分娩」だったり、麻酔科医の勤務時間外に始まった陣痛には無痛分娩は対応してくれないなど、なかなか希望に合う産院を探すことができませんでした。

でも、私の中で「自然分娩」という選択肢はなかったのです。

なぜそこまでさせたかと言うと、1人目の出産の痛みを知ってしまったからこその恐怖は半端ないものだったからです。

そして都内の無痛分娩専門のTクリニックを見つけることが出来ました。

そこは
・24時間365日無痛分娩対応
・近隣の大規模な救急病院と提携している
・自宅から車で20分ほどで行ける
・産婦人科医として経験豊富で、麻酔科医も常駐

あとは実際に産院に行って、直接先生に会って丁寧な説明と整った施設を見て決めました。

当初、無痛分娩は麻酔を使うので、正直「赤ちゃんに影響はないのかな」とか「麻酔の事故があったらどうしよう」という不安はありました。

しかしTクリニックでは先生をはじめ助産師さんも皆分からないことに丁寧に答えてくれ、出産前に「無痛分娩の勉強会」を開催するなど、手厚いケアがあったので不安はありませんでした。

しかし病気ではないものの、何が起こるか分からないのが出産です。

無事に出産するまでは「無痛分娩にすること」が良かったのか悪かったのかはまだ分かりませんでした。

しかしこれだけは言えるのが、「妊娠中、出産に対する恐怖」のストレスがなかったことは非常に大きかったです!

結果、Tクリニックで安全に無痛分娩により出産することが出来ました。

1人目とは比べ物にならない程のリラックスで、痛みはないのに赤ちゃんが身体から出てくる感覚は分かるというのが不思議でたまりませんでしたね。

一生懸命生まれようとしている赤ちゃん、見守る家族、そして万全の体制で出産をサポートしてくれるTクリニックの先生や助産師さんの姿を見ていたら、生まれる前から感動して涙が出ていました。

そしてお産が終わった時に「良いお産だった」と心から思ったこと。

これは私のこれからの人生で、非常に意味のあるものになったと思います。

もし次のお産があっても無痛分娩を選ぶか?

2人の子供で手一杯なので(笑)今のところもう一人の子供を持つ予定はありませんが、もしも次のお産があったとしても、私は迷わず無痛分娩を選ぶと思います。

理由は上と同じですが、特に産後の体力が回復しやすい点も大きいです。

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体験談から語る_無痛分娩が子供の発育上に影響したこと


2015年無痛分娩により女性が死亡し、子供にも重い障害を負った事故は大きく報道されています。

神戸市の産婦人科医院で2015年9月、麻酔でお産の痛みを和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」をした女性が出産時に呼吸困難に陥り、長男(1)と共に重い障害を負ったことが29日、分かった。

女性はこの障害の影響で今年5月に35歳で亡くなった。遺族側は無痛分娩の際の麻酔が原因だと主張している。

遺族側の代理人弁護士によると、医院は神戸市西区の「おかざきマタニティクリニック」。

産婦人科医の男性院長は、女性に背中に細い管を通して麻酔を注入する「硬膜外麻酔」で無痛分娩を実施した。

その後、女性は呼吸困難となり、別の病院に搬送された。

医院で担当したのは院長1人だった。緊急帝王切開で長男を出産したが、低酸素脳症のため女性は意識が戻らないまま今年5月12日に死亡した。

低酸素脳症が原因の多臓器不全だったという。

長男も脳に重い障害を負い、現在も入院しているという。
出典元:引用:http://www.asahi.com/articles/ASK6Y4DJSK6YPLBJ002.html


このようにお母さんが死亡し、一命は取り留めた息子さんが脳に重い障害を負ってしまったというのは何とも痛ましい事故です。

無痛分娩で「ただ痛みだけが取れれば良い!」という問題だけではないのでしょう。無痛分娩に対する多くの問題や今後の課題が詰まっています。

このような事故を除けば無痛分娩をしたことにより、子供の発育に影響があるという報告はありません。

ネット上では「無痛分娩で出産すると赤ちゃんが自閉症になりやすい」という根も葉もない噂があるようですが、科学的根拠はありません。

「○○すると△△になる」というジンクスは、特に妊娠出産ではよく聞きますよね。

(例:子宝草を育てると妊娠する・陣痛中に描いた赤富士の絵をもらうと妊娠する・妊娠中に火事を見るとあざのある子が生まれる・臨月に焼肉やオロナミンCを食べると陣痛が起こるetc・・・)日本人はジンクスや迷信が好きですよね・・・。


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体験談から語る_無痛分娩前に知っておいた方が良かったこと、未経験者に向けてのメッセージ


無痛分娩による事故訴訟の報道により「無痛分娩は本当に安全なのか」という心配を抱えている妊婦さんやそのご家族は多いと思います。

特に妊婦さんの祖父母・両親の年代の方々は、無痛分娩に対する正しい知識を持っている人は少なく、否定的な考えをされている人も多いと思います。

「痛みがない出産なんて、産んだことにならない」
「麻酔が子供に回って発育に影響があるんじゃないの?」
「無痛分娩で産んだ子には愛情を感じられない」

などと「悪気なく」「根拠のないこと」を伝えてくるケースが多いです。

また、出産は人それぞれなのに自分で体験(出産)したことが全てと考える人も多く、妊婦さんは色々な「アドバイス」に惑わされることも多いのです。私もその一人でした。

そんな例をあげて無痛分娩をテーマにしたのが、鈴ノ木ユウさん原作の漫画「コウノドリ」です。

テレビドラマでも「コウノドリ」は大人気でした。

綾野剛さん扮する産婦人科医師・鴻鳥サクラが聖ペルソナ総合医療センターを舞台に、産科医療の様々な問題、複雑な事情を持つ妊婦やその家族の物語が丁寧に描かれています。

鴻鳥サクラの産科医としての技術はもちろん、人間味に溢れる姿に私も毎週涙していました。

そんなドラマ「コウノドリ」の第3話(漫画では第10巻)で「無痛分娩」がテーマになりました。

あらすじとしては心臓疾患を持つ妊婦がペルソナ医療総合センターに検診に訪れます。

自然出産では心臓へ多大な負担をかけるため、産科医・鴻鳥サクラに無痛分娩を勧められます。

この妊婦さんの場合は自らの希望ではなく、一番母体と赤ちゃんに身体に負担がかからないベストな選択として無痛分娩が選択されました。

もともと周囲の人たちから吹き込まれる妊娠・出産の迷信やアドバイスに振り回されるタイプの妊婦さんはいざ分娩室に入り、出産を間近に控えた時、突然「無痛分娩をやめたい」と言い出します。

その理由は上でもあったような周囲のある言葉でした。

「無痛分娩をするのは赤ちゃんよりも自分のことが大事だからだ」
「ラクをして産むのだから、母性もおっぱいも出ない」
「例え病気があっても麻酔を使った出産は自然に産んだ母親の愛情には適わない」

酷い言葉ですねー。

これから大仕事をする妊婦さんに投げかけるにはあまりにも配慮が足りないと思います。

しかもこの妊婦さんの場合は心臓疾患があるので、医師がベストな選択をしているにも関わらず、です。

そのような事情も知ってか知らずか、それを否定し妊婦さんの不安を煽る周囲の言動は酷いものです。

このように無痛分娩や麻酔を使った出産に対して誤解や偏見を持っている人は多いということなのです。

そのため「痛くない」=「悪」や「危険」のような図式が出来上がってしまっているのでしょう。

他人のアドバイスに耳を貸すことを否定するつもりはありませんが、
「正しい情報源から」
「正しい知識をしっかりと植え付けて」
「適切な医療体制を持つ病院」
「信頼できる医師と出会うこと」
「不安なこと、分からないことはその都度納得いくまで聞く」

これらがとても重要なことだと思います。

「正しい知識を持って誰一人として同じではない自分のお産」と思っていれば、根拠ない心無い言葉には惑わされないと思います。

それでも妊娠中はどうしても些細なことや言動が気になるのはよく分かります。

そんな時は医師や助産師さん、地域の保健師さんらに気軽に相談してみてください!

「こんな些細なことで・・・」とは思わなくていいのです。

また、インターネットで知識を得る人も多いと思います。

キーワードを入れればすぐに検索でき、相談に乗ってくれる人もいる。

それは否定しませんが、しかしそれが「信用できる人物・知識」なのかを見極めることはなかなか難しいことです。

私の通っていた産院では「何か困ったことがあったら、やたらにインターネットで検索しないで、何でも病院に相談してくださいね」と言われたことを覚えています。

インターネットで検索しても心配になったり、怖いことばかり書いてあり、検診の時に「ネットでこう書いてあったのですが・・・」などと質問していたからかもしれません^^;

話は戻りますが「コウノドリ」は現代の産科医療について丁寧に描かれており、医療関係者も太鼓判を押す内容になっています。オススメですよ。

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これまでのまとめ


・無痛分娩とは陣痛を取り除くため麻酔をかけて出産する方法です。
硬膜外麻酔と点滴麻酔の2種類がありますが、日本では主に硬膜外麻酔が使われています。

・最近無痛分娩時の事故のニュースをよく耳にするため「無痛分娩はリスクが高い」という風潮があります。それはニーズに対して麻酔科専門医や経験豊富な医師の数・妊婦や家族への説明・適した体制が整っていないことから起こるケースがほとんどです。
きちんとした環境で適切に行われていれば「安全なお産」方法です。

・普通(自然)分娩と無痛分娩の最大の違いは、とにかく「痛みの有無」です。
メリット・デメリットをよく見極め、ご自身のバースプランを考えてみてください。

陣痛で苦しみもがいている時に言われた「痛みに耐えなければ母親になれません」あの言葉はきっと一生忘れないでしょう。

でも、本当にそうでしょうか?

個人的には普通分娩も無痛分娩も帝王切開も立派なお産だと思います。

でも、まだまだ日本ではそういう考えが根強くあります。

しかし、現代の女性は生き方も出産方法も多種多様です。

出産は必ずしも計画通りにいくものではありませんが、妊婦さんやご家族がご自身の思いに沿った「いいお産」が出来ると良いですね!

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最後に体験談から語れること


自然分娩と無痛分娩、両方の経験者の目線で書きました。

無痛分娩、希望する妊婦さんは増えているにも関わらず、日本では希望者全てを受け入れられるほどの施設・産科医・麻酔医・助産師らが揃っていません。

手厚い医療スタッフのサポートで無事に出産を出来ることがほとんどではありますが、デメリットや危険性は常に隣りあわせということもよく知っておくことが必要です。

病院の体制や安全確保がどのようになっているかということを重視して選びましょう。

私たちに出来ることは、事前のリサーチをしっかり行うことです。

見た目の華やかさやサービスで選ぶのではなく、安全な病院を選んでください。

そして疑問点は担当医師に納得いくまで説明を求め、疑問点は解消しておきましょう。

ひとりひとり同じお産なんてありません。すべての人が、心に残る「良いお産」ができると良いですね。

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