冬の入浴中に溺死が多い理由とは
寒い冬は湯船にゆっくりつかって、体の芯からじっくり温めたいという人は少ないですよね。
でも気を付けたいのは、入浴中の溺死です。
特に夏よりも冬の時期に多いという報告がされています。
7月8月の夏期と12月から2月までの冬期を比較すると、夏期の5倍から7倍もの方がお風呂場で入浴中に溺死しています。
その多くは高齢者です。
なぜ冬の時期の入浴中の溺死が多いのでしょうか?
その理由はお風呂場での熱中症です。
熱中症と聞くと夏に生じやすいというイメージがありますね。
でも冬のお風呂場では夏の状況と同じ状況が起きています。
高齢者に多い熱中症とは
夏場の熱中症は気温の上昇や運動時に体温が上がり汗をかきます。
汗を蒸発させることで体内に熱がこもらないようにします。
この時に汗となる水分が足りなかったり、湿度が高い状態だと上手に発汗できず体内に熱がこもり、熱中症になります。
お風呂に入っていると、お湯で体温はどんどん上昇します。
汗もかきますが、その汗を上手に蒸発させることができません。
体内の熱が外に逃げないので、体温はその後も上昇しつづけてしまい、気づいた時には熱中症になっているケースが報告されています。
めまい、ふらつき、失神などが生じてしまい、溺死もしくは突然死する高齢者が多いのです。
入浴中に熱中症になる理由とは
冬は夏場に比べて湯船のお湯を熱めにしたり、長い時間入浴する傾向があります。
これが入浴中の熱中症につながります。
例えば41℃のお湯に15分つかると、体温は38℃以上になり、20分後には39℃まで上昇します。
もちろん個人差はありますが、20分程度入浴するだけで体温は2〜3℃は上がります。
そして41℃という水温もそれほど熱いとは感じない温度でしょう。
高齢者は若者に比べると、のぼせている感覚が鈍くなっています。
そのため若者であれば「のぼせてきたな」と感じて湯船から出られるものの、高齢者は気づかずに入浴を続け、熱中症になってしまうといわれています。
入浴中、熱中症の対処法とは
熱中症にならないためにできることは、長湯をしないことです。
入浴は41℃以下で10分以内と決めておくことも熱中症対策の方法です。
また湯船で寝てしまわないように気を付けましょう。
気持ちよくなり、寝てしまうと知らない間に熱中症になりそのまま溺死してしまうこともあります。
そしてお風呂の栓が手に届く所で入りましょう。
万が一具合が悪くなった時には、お湯を抜くことで身体を冷ませます。
脱水症状にも気を付けて、入浴前後には多めに水分を取ることも大切ですね。